植物防疫関連資材 Q&A

DAS-ELISA用セット

Q1 TSWVのエライザ検定を行っていますが、陽性と思われる試料でも、反応しません。
検定試料を葉重量の10~100倍希釈で使用してみてください。
トータルIgG中、TSWVと特異的に反応する部位が限られている本TSWV抗血清では、抗原(ウイルス)量の僅かな差で反応性が弱くなりますので、濃い濃度での使用を試みて下さい。
アザミウマ伝搬性のウイルスに共通する現象ですので、INSV、MYSV、IYSVで同じようなことがある場合に有効な手段です。検定試料の濃度を10~100倍にして行うことが必要です。また他の理由として、検定試料とした部位によっては極端にウイルス濃度が低い(検出限界以下)場合があります。例えば壊死しかかった試料等です。また、病徴が明瞭な試料の場合、他のウイルスの関与も疑ってみてください。
Q2 CYVV試薬を使用する際に注意すべきことはありますか?
①葉重量の50~100倍に希釈したものを検定試料としてください。
②2~4%のポリビニルピロリドン(K-30)を磨砕溶液に添加ください。
③特にマメ類を検定される場合は試料の磨砕溶液中に酸化防止剤として0.2%メルカプトエタノールを添加してください。
マメの検定に関係しているウイルスに共通する現象ですので,BBWV、CMVで同じようなことがある場合に有効な手段です。マメは酸化しやすいため、それを防止する措置です。
Q3 ジャガイモYウイルス用DAS-ELISA用セットを使用しています。本試薬はPVY-T、PVY-Oともに反応しますか
本試薬に用いた抗体はPVY-T(えそ系)を元に作製いたしました。この抗体はPVY-TとPVY-O(普通系)ともに反応しますが、反応の程度が異なります。PVY-Tを100%とするとPVY-Oの反応性は50~60%程度です。
このようなことから、PVY-TとPVY-Oの識別は本試薬ではできません。
逆にPVY-Oで作製した抗体の中には、PVY-Tはほとんど反応しないものがあります。
Q4 LSV(ユリ潜在ウイルス)DAS-ELISA用セットの反応性について教えて下さい。
本試薬は、当時(西暦2000年以前)、沖永良部島のユリ栽培農家で発生し、発生圃場から持ち込まれた試料で抗血清が作製されています。電子顕微鏡および接種試験で確認して、LSVと同定していましたが、後になってLMoVの感染も疑う余地がでてきてしまいました。ほとんどがLSVなので、LMoVに反応しても極弱い反応で判定に支障をきたすことはないと考えます。
LSV抗血清の早急な作製により、現場の緊急対策に本抗血清が活躍した経緯があります。
上記の経緯から、本試薬はLSVの他にLily mottle virus(LMoV)に極弱く反応する可能性があります。
Q5 反応していけないウェル(穴)またはネガティブコントロールが発色しているのですが。
まずは洗浄不足、不適当なプレート(細胞培養用、表面を特別に加工した吸着性の高いもの、長期保存による表面の劣化)および基質の劣化が考えられます。
次に非特異的な反応を示している場合があります。非特異反応とは反応対象となる抗原にコンジュゲート抗体がつくのではなく、関係ない物質(成分)にコンジュゲート抗体がくっついてしまうことで、あたかも陽性反応を示しているようにみえるものです。コンジュゲート液の酵素を吸着するような物質を含む検定試料(例えばポリフェノールや多糖類)、酸化しやすい検定試料では磨砕溶液にその作用を軽減するような添加物(例えば2~4%ポリビニルピロリドン、0.2%メルカプトエタノール、1%アスコルビン酸ナトリウム等)を適宜加える必要があります。また、コーティング処理または試料処理時にスキムミルクや牛アルブミン等を添加し、ブロッキングする方法もあります。但し、ブロッキングすると反応が抑制される場合があるので、適当な添加剤の濃度を探る必要があります。
Q6 アシドボラックスアベナエシトルリィのElisa試薬を使用していて、類縁菌に誤反応する可能性があるかどうか?
当協会のA. avenae subsp. citrulliに対する抗血清は属内の共通抗原である鞭毛(いわゆるH抗原)はできるだけ取り除いて、特異性の高い細菌の細胞壁(いわゆるO抗原)に対して作製していますが、属内での多少の交差反応は避けられないのが現状です。
ウリ科に発生する細菌Pseudomonas syringae pv.lachrymansおよびXanthonsa campestris pv.cucurbitaeの反応は陰性として確認し、ウリ科に発生している病斑部位の検定には問題ないとして、配布しております。
参考:河野敏郎・高橋義行(2001):高比重ラテックス凝集反応法を用いたスイカ果実汚斑細菌病菌の簡易検出,関東病虫研報 48:37-39.
同属の反応例としては(植物防疫、2011、65巻、第10号を参照ください)、A. avenae subsp. avenaeの1分離株に反応するという事例があります。
PCRによる診断が主流になった現在では抗血清は簡易診断のツールとすることが望ましいです。

ラテックス凝集反応法

Q7 ラテックス凝集反応法のイネ罹病葉の作製について。どのくらい薄めたらいいのですか?
罹病葉のウイルスの濃度が高いことに越したことはありませんので、罹病汁液を濃くしてしまいがちですが、葉の組織がじゃまをして、凝集塊が観察しにくくなることがよくあります。どんなに濃くとも罹病葉重量の100~200倍希釈液が限界です。当方で行っている予備検定では葉重量の500倍液が最も高濃度です。
ユーザーが保管している罹病葉のウイルス濃度によって、適度に凝集反応する濃度を見つけることも検定作業の1つだと考えます。
100倍より濃い汁液を扱う場合には植物成分をなくすため、遠心した上澄みを利用します(1時間程度静置して、その上澄みを使うのも良いが、酸化等が進まないように冷蔵環境に置く)。
Q8 ラテックス凝集反応法のイネ罹病葉の作製について。どのくらい薄めたらいいのですか?
ラテックス凝集反応法は検定対象が虫および罹病葉であっても生理食塩水で磨砕します。虫の検定の場合、直接虫を潰してラテックス液を加えるやり方が主流ですが、ラテックス液と等量の生理食塩水で磨砕して、等量のラテックス液を加えるユーザーもいます。また、罹病葉の場合、葉重量の100~200倍希釈汁液を検定試料として、ラテックス液を等量加えると200~400倍希釈液となるので診断しやすくなります。
Q9 高比重ラテックス凝集反応法で植物を対象とする場合と虫を対象とする場合で磨砕溶液のpHが違うのはなぜですか?
磨砕溶液のpHが虫と植物で異なるのは、中性付近で凝集反応させたいので、分けています。虫の場合すりつぶすと、虫体の成分で少しアルカリ側に傾くものが多いので磨砕溶液のpHを6.0としています。

その他

Q10 購入した試薬を海外に送りたいのですが,何か問題となることがあるでしょうか。
当協会の試薬は国内需要向けに作製しています。海外に向けて送付した際に品質が保証できません。
海外送付用に必要な書類等の事務手続きに対応することが不可能ですので、当協会から直接送付することはできません。
Q11 抗血清試薬を誤って凍結させてしまいました。今後の使用は可能でしょうか。
解凍する際にどうしても内容物の結合箇所に問題を生じてしまい、品質が低下します。品質の低下は反応性の低さを意味しますので使用不可能と思います。但し、解凍のされ方次第ではそれほど品質の低下に至っていない場合もあるので、反応性を確認していただければと考えます。その後、ご相談ください。
Q12 コンジュゲート試薬の使用濃度を取り扱い説明書よりも薄くして使用することは可能でしょうか。
弊社の予備検定によって最適な使用濃度を提示していますので、本濃度を守っていただきたいのですが、ユーザーの方の経験値(理解度)の上に環境条件・発色程度によっては濃度を変えて使用していただくことは可能と考えます。
Q13 購入した抗血清試薬が全部使い切らずに有効期間の6ヶ月を過ぎてしまいました。しかし,捨てるには忍びないので....
品質は保証できませんが、ユーザーの方の判断でご使用ください。試薬の管理の仕方次第では6ヶ月すぎると急速に品質が低下する場合もございますので、ご了承ください。
Q14 販売されている抗血清試薬にSDSはありますか。
エライザ試薬、ラテックス抗体感作試薬、高比重ラテックス抗体感作試薬はいずれも、SDS対象物質に該当しません。唯一オプション品の10%ジエタノールアミン溶液が該当しますので、ジエタノールアミン原液の購入会社のSDSシートを添付いたしております。